父のことである。
まだ。なんて言ったら不謹慎だと袋叩きにあいそうだけどね。
10月初旬に『あと2週間くらい』などと医者に宣告されていたのだが、
すでに11月も終わろうとしているので、その診断に対して
まだ。なのである。
━━━☆・‥…━━━☆
若かりし頃、私はどれほど父のいない世界を望んだことだろう。
父は、奇人?変人?狂人?というには、まともな人だった。
とてもまじめに働く愛情深い人だった。
でも、単にまともな人でもなかった。
戦争は罪だよね。
父は戦地でのことを一切語らなかった。
ただそこから、ある種の病みを抱えて父は帰ってきたのだと思う。
50年も前からのトラウマ。
他人はね、意地が悪くてね、本人にではなく家族にその嘲笑を向けてくるのさ。
笑いものにされる者の気持ちを分かったうえで、そこを突いてくるのさ。
私が何をした?
言葉で小突かれれながら私は何も言えずにそこにいた。
この人がいなくなれば、私は自由に生きられる。
いつの日か、遠くない日。それまでの辛抱。
それだけが私の生きる希望だった。
でも、時はあっという間に過ぎて、いつか私の自由への欲求は消滅して
父の寿命がどれほどなのか気にならなくなっていた。
「父さん。私は年金をもらえる歳になってしまいましたよ…」
人は生きるだけ生きなければ死ねない。
自分の人生の先が見えて、私が悟ったことだった。
父がまだ生きているということは、まだまだ生き切れていないんだろう。
━━━☆・‥…━━━☆
実家には電話をかけずにいる。
理由は邪魔になるから。
今、家業をしながら父の介護をしている家族にとって自分の時間は貴重だ。
何もできない私がその時間を無駄にさせてはいけないと思っている。
そんな実家から電話がかかってきた。
「医者はああ言っていたけど、まだだと思っていた。」って。
私も「顔を見たとき、まだ先だと思ったわ。」と。
「本人、自尊心もあるし辛いんだろうけどね。
こればかりはどうにもできないわね。」
娘の情として、速やかに逝くことができない父を可哀そうだと思う。
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まだ。なんて言ったら不謹慎だと袋叩きにあいそうだけどね。
10月初旬に『あと2週間くらい』などと医者に宣告されていたのだが、
すでに11月も終わろうとしているので、その診断に対して
まだ。なのである。
━━━☆・‥…━━━☆
若かりし頃、私はどれほど父のいない世界を望んだことだろう。
父は、奇人?変人?狂人?というには、まともな人だった。
とてもまじめに働く愛情深い人だった。
でも、単にまともな人でもなかった。
戦争は罪だよね。
父は戦地でのことを一切語らなかった。
ただそこから、ある種の病みを抱えて父は帰ってきたのだと思う。
50年も前からのトラウマ。
他人はね、意地が悪くてね、本人にではなく家族にその嘲笑を向けてくるのさ。
笑いものにされる者の気持ちを分かったうえで、そこを突いてくるのさ。
私が何をした?
言葉で小突かれれながら私は何も言えずにそこにいた。
この人がいなくなれば、私は自由に生きられる。
いつの日か、遠くない日。それまでの辛抱。
それだけが私の生きる希望だった。
でも、時はあっという間に過ぎて、いつか私の自由への欲求は消滅して
父の寿命がどれほどなのか気にならなくなっていた。
「父さん。私は年金をもらえる歳になってしまいましたよ…」
人は生きるだけ生きなければ死ねない。
自分の人生の先が見えて、私が悟ったことだった。
父がまだ生きているということは、まだまだ生き切れていないんだろう。
━━━☆・‥…━━━☆
実家には電話をかけずにいる。
理由は邪魔になるから。
今、家業をしながら父の介護をしている家族にとって自分の時間は貴重だ。
何もできない私がその時間を無駄にさせてはいけないと思っている。
そんな実家から電話がかかってきた。
「医者はああ言っていたけど、まだだと思っていた。」って。
私も「顔を見たとき、まだ先だと思ったわ。」と。
「本人、自尊心もあるし辛いんだろうけどね。
こればかりはどうにもできないわね。」
娘の情として、速やかに逝くことができない父を可哀そうだと思う。
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