お月様にあいたくて

闇夜の砂漠で月を待つ。 それが日常。 たまには、こっそりひっそり毒でも吐こうか。

思い出

八重の桜が散る道で

連休明けからBニャンとの散歩を再開した。

ここ2年ばかり、たぬこを待つのに時間をとられて散歩もままならなかったが
でも、もうたぬこがここに来ることはないのだと割り切って、
以前のように、Bニャンと夜の散歩をすることにした。

…………………

先代のエルは、私の最高の友達だった。
信頼、友情、愛情。
私はあの子にそういうものを沢山もらった。

友達(飼い主さん)は今でも笑う。
「こちるさんにとって、私は友達じゃなくて、友達(エル)の飼い主なんだよね。」
「そうだねぇ、エルが生きていたら、やっぱり一番の友達はエルだもんねぇ~」

エルを通じて飼い主さんと知り合って、私たちは友達になった。

知り合って間もなく、あることがあり、私はほぼ一人でエルの散歩のお供をした。
約1年。雨の日も、雪の日も。

おかげで私は、飼い主さんに次いでナンバーツーの地位を手に入れた(笑

ただ、毎日私が来ると信じて、窓際で待ち続けられるのにはまいった。
私、エルの期待を裏切ることができない・・・
なので、毎週水曜日と日曜日を散歩に行かない日に決めた。

おばさんは来ない日もある。だから、待たなくていいんだよ。

エルは死ぬ1年前くらいからテンカンの発作をおこすようになっていた。
ただ、私はその姿を見たことがない。
発作をおこすのは、水曜日か日曜日。
大抵は、友達の娘しかいない時ばかりだった。

誰もいないと、いじめているの?

「ねえ、エルをぶっていない?」
「そんなことしてないよ。」
「でも、頭の上に手がいくと、怯えるんだけど…」
「うーん。たまにね。たまーに…w」

娘さんは面倒だったらエサをやらない。水をやらない。散歩に行かない。
なのに、エルが言うことを聞かない。自分を下に見てると腹を立てる。
エルにとってはストレスだらけの悪循環。

歳を取って、我慢が溢れてしまったのか。

ほんの少しの気配りで、エルは賢く従順な友達となってくれたのに。

そりゃ、おばさんがナンバーツーになっちゃうよなぁ~

………………

この前、Bニャンと散歩の途中、八重桜の花びらが道路脇に積もっているのをみつけた。

この季節、エルはこの花びらを踏みしめて歩くのが好きだった。
シッポをピンとあげて、可愛い肛門まるだしで…
その肛門が桜色で…
そして、大胆にも片足あげてオシッコを…
これこれ、エルさん。あなたの名前の由来はLadyのLから来てるのですが…

エル。八重桜の花が散ったよ。

あなたと作った思い出と、あなたが去った悲しみが今も鮮明に蘇る。
取り残された私は、こうしてBニャンと散歩しながら、
あの時のあなたを思い出している。

エル。遅い春が過ぎて行くよ。



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いつまでもはダメよ

スーパーのレジに、パート募集の張り紙がしてあった。

あら、思ってたより時給がお高いのね!

………………

先々のことを、そろそろ考えねばならない時期に差しかかった。

まだ時間に余裕あり。なんて、呑気に構えていたら近い将来泣くことになる。

Bニャンの先代の犬、エルは賢い子で人の言葉を良く理解していた。

散歩の途中で気になる匂いに出くわすと、いつまでもクンクンとその場から動こうとしない。
軽くリードを引っ張るくらいではびくともせず、ひたすらクンクンと匂いを嗅ぐばかり。
そんな時に私がエルにかける言葉。
「エル? いつまでもはダメよ。」

そうすると、未練がましい表情をしながら、その場を離れてくれた。
まあ、クンクンに集中して全く無視されることもあって、
私がヒステリーを起こして、「おばちゃん、もう知らない!」
なんて言うこともあるにはあったけど、大抵は言うことを聞いてくれた。

今の私は、クンクンしているエルの状態かな?

この場から動きたくないけど、そろそろ覚悟を決めなくてはね。
時間などあっという間に私を放置して行ってしまうわ。

鈍くさい私が、テキパキレジをこなせるとは思えないけど、
コンビニバイトができるとは思えないけど
ホームセンターで軽作業ができると思えないけど

選り好みなどしていたら、あっという間に生活が破綻する。

……………

現実なんて、嫌いさ。
現実だけじゃなく、未来だって嫌いさ。

思い描ける夢や希望が全然ないもの。

スパーのレジの張り紙をみて、
私の頭に「いつまでもはダメよ」と声が聞こえた。

フーッ

そろそろ、就活?終活!見据えた上で色々考えなければ。




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努力と結果 その2

もう一人の営業君の話。

私が今の会社に入る3ヶ月前、その営業君は採用されていた。

この営業君は私より4歳下。
この子も、見た目の良い人で取引先の女性受けもよかったみたい。

性格も良い子だと思っていた・・・

が、数年一緒に仕事をしていて、時々アレェ~?と思うことが起こり始めた。

なんというか、年功序列好き、男尊女卑の自信家でした。

まあ、私は職種が全く違っていたので、営業君に仕事の指示をされることはありませんでしたが
工場では、仕事の出来ないアホなオヤジのご機嫌をとりつつ、
仕事をテキパキこなす女性達には、尊大な態度をとるクソ野郎でした。

そして、先輩の営業(亡くなった彼です)に暗いライバル心を持っていた模様。

先輩の彼が退職するとき、「先輩の取引先は、僕が引き継ぐことになりました。」
そう言って、取引先へ一緒にご挨拶に行ったりしていたけど…

ん?ちょっと疑問でね、社長に聞いてみた
私「取引先の引き継ぎ、決めた?」
社長「まだ。多分俺が行く。ナゼ?」

やっぱりね・・・
先輩の営業が担当していたところは、我が社にとって重要な会社ばかりだったから。
なので、営業君の担当はほんの数件増えたのみ。

が、先輩の営業が辞めるとすぐに、営業君の時間外勤務が始まった。
まず、営業先からの帰りがグーンと遅くなった。
そして、退社時刻も7時→8時→9時→10時→時々翌日。と、グーンと遅くなった。

それに伴い、営業君の時間外手当が大暴走。(゚Д゚≡゚д゚)エッ!?
でも、仕事の内容に全く見合っていないって、どゆこと?
いや、営業君なりに頑張っているに違いない。
そう思いつつ数ヶ月、営業君が残業を続けるのを見ていた。

でもねぇ、毎日のように10時・11時過ぎまで会社にいては、
この営業君も潰れるんじゃないかと思い始めた。
で、社長に言ったのよ。「オーバーワーク。早く帰してあげたら。」って。

と、社長の返事。
「仕事なんて増やしてないぞ。
 大体、俺が事務所にいると工場に行き、俺が工場に行くと事務所に戻る。
 なんのためにいるのか、さっぱり分からんのだから。」

はあ、、、私も思うとりましたわ。
営業君、時間外手当と自分の存在感を示したいんだって。
でもさあ、有りもしない仕事を「やってるぞ」アピールされてもねぇ・・・

社長も、そのうち落ち着いたら早く帰ると踏んでたらしいけど
半年以上経っても営業君は変わらず会社に居残りを続けた。
そしてついには、8時までに帰るよう指示され、固定給にされてしまった。

営業君。アホなのかバカなのか?
ただ、意味不明の努力をしていたのだけは確か。
なのに、その条件を素直にのむことをどうして出来たのか・・・

それ以降、営業君は8時には帰宅するようになりましたとさw
って、やっぱ無駄に会社に居残ってただけって、バレバレやないかぁ(゚∀゚)アヒャヒャ
舐めたまねしくさって、ブツブツ。

でもさあ、あの時労基局が会社に来たりしたら、
我が社はブラック企業ってことになってたんだろうね。

会社としては、本当に迷惑な営業君の努力だった。


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脳天気な孫と、ボケた祖母w

そのころ私は一人暮らしをはじめていました。
用がなければ実家へ帰らないのは今と同じ。
だからサンダーバード事件のことは知りませんでした。

季節が変わってしばらくしたら、ばあちゃんは再び入院をしました。

「ばあちゃんがこちるに会いたがっている。見舞いに行きなさい。」
実家からの命令でしぶしぶ見舞いに行きました。
お見舞いに柿を買っていったので、季節は秋だったのかも知れません。

病院のベッドの端っこに祖母と並んで座り、どんな話しをしたのやら。

と、祖母が話し始めました。
「車に轢かれて身体がバラバラになってしまった。
 それを病院の先生がくっつけてくれた。」

ブラックジャックのピノコかいな?なんともファンタジーなお話し。

そして私は脳天気。
「ふーん。」としか思いませんでした。

祖母は話しを続けます。
「背中の肉は洗面器いっぱいあった。それを先生が丁寧に貼り付けてくれた。
 ひどい傷が残っているから、見たら分かる。」
シャツの裾をめくって、私に背を向けるばあちゃん。

どれどれと見てみたら、背中には湿布を剥がしたあとの白い筋がいっぱい。
でも皮膚はかぶれもなく綺麗だった。
「うん。キレイだよ。湿布の跡だけ、傷もないみたい。
 ばあちゃん、綺麗な肌してるねぇ。」

でも、湿布を貼っていたのだから、どこかが痛いのだろう。
「痛かったの?今も痛いの?」

「いや、今はそんなに痛くない。そうか、治ったか・・・」
と、とても嬉しそうにしていました。


実家に帰って見舞いの報告をしたとき初めてサンダーバード事件の話しを聞かされました。
えっ! えっ! えぇ~~っ!となりました。


でも、私の見舞いの後、ばあちゃんは「殺されそうになった」話しをしなくなったそうです。

みんなね、ばあちゃんがその話をすると「そんなことはなかった!」とか
「バカなことを言うんじゃない!」と叱っていたらしいのです。
完全否定をされて、ばあちゃんは納得できずにかたくなになってしまったのね。

私だけが否定もせず、傷口(無いんだけどw)を見て
完治していると話してくれた。痛くないの?と気遣ってくれた。
それで心底満足したらしいのよね。

祖母と私のピンぼけな会話は、見事な着地を果たしたってこと?

歳を取ってボケてしまっても、話しは聞いて欲しいし、理解して欲しかったのでしょうね。
転んだときに背中を強く打って本当に痛い思いをしたのでしょう。

介護されるようになったら、人はとても孤独になるのかも知れません。
意のままに動けなくなった上に、わずかな会話で、否定と叱責ばかりされ続けて辛かったのでしょう。

というのは、後付けの解説。

私は「フゥ~ン」と脳天気に祖母と話しをしただけという話しなのです。




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嫁オバの災難

前記事で、笑い話的に書いたサンダーバード事件の続き。

車に乗り込もうとして、車の下に滑り込んでしまったばあちゃん。

ただその時、ばあちゃんが感じた恐怖はハンパでなく、
飛んでもない錯覚を脳に刻み込んでしまいました。

『嫁に車で轢き殺されるところだった』

ばあちゃんにしてみたら、「退院だ。ワーイ」とスリッパのまま外に出て
車のそばに立っていたはずが、気づけば車の下。
タイヤは目の前。

もがくばあちゃんを救出するにも、足下が悪くて、嫁オバも母も四苦八苦。

そこで『嫁が私を殺そうとしている!』と確信してしまったらしい。

それを会う人ごとに話す祖母。
広がる噂。

その噂話を信じたオバからの電話に驚く母。
「いやいや、それは違うから。私もそこにいたから・・・カクカクシカジカ。」
「まさか! ばあちゃん、そこまでボケが進んだか…」と、オバ達は驚く。

「ハハ子さんのおかげで、誤解されずに済んだわぁ。」と嫁オバから感謝される母。
たしかに目撃者がいなければ、嫁オバは殺人未遂の容疑者になってたものね。

そんなわけで、とりあえず身内での誤解は解けたとしても、
ばあちゃんの近所での噂は消えたりしない。

気丈で賢かったばあちゃんが、ボケていると思った人はいなかったみたい。
それに話しが飛躍しすぎてて、かえってリアルに感じた人も多かったのかも。
「もしかしたらあの嫁……」

嫁オバもかなり勝ち気な人だったので、そう見られちゃったのかも…
にしても、殺人未遂はないだろう!

とんだ災難である。

まだらにボケた頭に焼き付いた恐怖の記憶は修正不能?

ところがある時を境に、ばあちゃんはその話をしなくなりました。

それはね。。。少し笑えます。

続きます。




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