仕事は辛くはない。
雇い主は鷹揚でやさしい。

だけど、たまに、吐き気がするほどの嫌悪を感じることがある。

雇い主には、ご自慢の息子がいる。
溺愛加減は半端ではない。

……………………

ある日、怒りに震えながら息子が事務所にやって来た。
ことの顛末を母親に訴えている。
涙目、上ずった声。
呼吸の仕方が分からなくなっているのか、おかしな所で息継ぎをしている。

なんかその怒りの理由が下らなさすぎて、はぁ~?なのだが
私は見ぬふり、聞かぬふり。

が、忙しい中、母親は真剣に息子の話を聞いている。
ま、話の内容はほとんど小姑の悪口ですもんね。
母としてはある意味うれしいことであるのかも知れない。

相槌を打ち、なだめる母。
やがて、過呼吸気味になってソファに寝転がる息子。

なんだか安い芝居を見ているようだった。
世界の中心は、今、ここにある。的な?
観客は私ひとりだけなのだが…

まあ、友達の娘も昔はこんな感じだったわなあ。
溺愛されて育った子どもって、男女に関係なくこんなふうに育つのかしら?
などと思っていた。

が、この息子は進化していた。Σ(゚д゚;)
半べそ状態で立ち上がると、うわごとのように
「おかあさ~ん。おかあさ~ん。」と言いながら母親のお腹をさすり始めたのだ。

病的でさすがに気味が悪かった。

…………………

雇い主は、息子が帰った後、
「あの子はストレスが溜まると時々ああなるの。」
などと言っていたけど、25歳でアレって、痛すぎるわ。

甘えん坊すぎて母胎回帰したくなるんですかねぇ?

なんだか見てはいけないものを見た感じ。

今どきの親子って、あんなもんなんすかね?


 ※因みに意識が朦朧となるほどの怒りの原因は、
   「叔母さんが、ボクのお菓子を勝手に食べた。」でした。
  


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