ゴールデンウィークが終わった。

パートに行くようになってからすっかり夜更かしが常態化して
なかなか普通の時間に寝付けない。
閉じた瞼がピクピクとうずいて、眠りにつくことを拒否し続けるのだ。

まあ10連休だし、昼寝すれば大丈夫ってことでモゾモゾとベッドから起きあがり
録りだめてあったドラマなんかをボーッと見ている内に夜が明ける。
「ああ、この時間に寝てしまったら、ゴミ出しの時間には夢の中だわ。」
 ※我が家のゴミステーションは夜中のゴミ出しは禁止。
なんて思ったりして、庭の草むしりを始めたのは午前4時半。
7時にゴミを出したら睡魔が訪れ昼まで爆睡。

そんなことをくり返していたら、5日目には完全な昼夜逆転となってしまった。
最初のうちこそ「引きこもりの学生かよっ!」などと、一人でツッコミ入れて笑っていたけど
さすがにねぇ。いつまでもはねえ・・・還暦過ぎてみっともないわねぇ。

眠剤飲んで強制的に寝ようとするも、何故か全く眠れない7日目の夜。
考えてみれば外出したのは近所のスーパーへ1度きり。
あまりにも運動不足で、体が休養することを拒否するのも当然だわ。

運動がてらスーパーへの道を遠回りした9日目の夜。
友達の家の前を通り過ぎようとしたとき、犬と共に飼い主が外に出てきた。

「久しぶり~、元気だった?」って、今年はじめてのご挨拶をしつつ
半年ぶりに見る犬の背中がまあるくなっていることを悲しいと思った。

何故か犬をいじめていた飼い主の娘さんが、年老いた犬に執着するようになってから
私はラブとの散歩をしなくなっていた。

おやつは無添加のものじゃなきゃダメ!
って、15歳にもなった老犬に今更なことを言いはじめたり
少しの体調不良に大騒ぎして、病院に駆け込まれても、
今まで世話せずにきたから、当たり前のことさえ分からないくせにと思ってしまう。

ならば、汚れたペットシートぐらい交換してやれよ。
ブラッシングしてやれよ。
水の皿を空っぽで放置するなよ。

でも、私に所有権はないのよ、いざというとき手出しはできない。

それでもラブは私のことを覚えていて、立ち上がって散歩をおねだりする。
「うんうん。忘れないでくれてありがとね。」

久しぶりに散歩をしながら、友達とこの半年のことを話しまくった。
膝の回復具合とか、パートのこととか。

友達はラブの様子を話し、娘の話をし、自分の話をした。
「私、○○ガンになった。」
「こちるさんに電話したかったけど、できなかった。」って。
・・・・・・・。

「薬は? 治療は? 手術は?」
「うん。今は経過観察中で定期的に大学病院に行ってるところ。」
「そっか、よかった。」

……………………

友達と知り合ったのは、前の犬がきっかけだった。

あれから20年の歳月が流れて、2匹目のラブも今はすっかりおばあちゃんだ。

当然よね。私たちも歳をとるはずよね。
これからは、自分がどうなっても仕方がない歳よね。

そんなことを言い合いながら、私たちはそれぞれに覚悟を決める。

それは、慰めではなく、受け入れざるを得ない現実としての話だ。




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