足が痛い。
正確には、右足の土踏まずと甲の骨の間。

腫れてるせいか、靴がきつい。
一足ごとににぶく痛む。
どうしたんだろうね。これって、老化なんだろうか?

それでも、するべきことはしなけりゃいけない。
バスに乗って、地下鉄に乗って、電車に乗って出かけてきた。
ハローワーク、市役所、労働基準局。
ついでにデパートにも行って、親孝行もどきで実家に桃を送った。

いっぱい歩いて、くたびれたので、どうしても座りたくて
かなり早めにバスターミナルに行った。
すでに、かなりの人が並んでいたが、まあ、なんとか座れそうなんて思っていたら
背骨が曲がったおばあちゃんが、ゆっくりと列の先頭へと歩いていった。

足下もおぼつかないのに、杖も持たずに、ゆっくりと、ゆっくりと。

…………………

バスは出発時刻の2分前にやって来た。
ムムム。乗車から出発まで2分しかないって、かなり無理なんじゃね?

ところが、乗車口は開いたのに、列は全く進まない。
ようやくバスに乗り、席に座ったときには、出発時刻をとうに過ぎていた。

なのに、バスは出発しない。

やがて、マイクを通した運転手さんの声の冷たい声が聞こえた。
「このバスじゃないですよっ!」

先ほどのおばあちゃんが、運転手にバス停を確認していたらしい。
「行き先は同じでも、そのバス停には止まりません。
 次のバスだから、それに乗って!」

舌打ちせんばかりに、吐き捨てるように。切り捨てるように・・・

おばあちゃんは、ゆっくりゆっくり歩いて乗車口に向かう。
多分、全速力なのだろうが、ゆっくりと。

そして、ステップの所で躊躇する。
その段差が大きすぎて、足を踏み出せずにオロオロしている。

親切な女性が、手を貸してようやく1段降りたとき、ブザーが鳴って
「ドア、閉まりま~す。」と、運転手が言った。

「まだです。まだですっ!」と、女性が声をあげた。

運転手は無言だった。

…………………

「はい。出発しまぁ~す。」
運転手の声は不機嫌そうだった。

バスがもう少し早くターミナルに来ていたら、こんなことにはならなかったろうに。
他の乗客達がどう思ったかはわからない。

『あれは、将来、いつかの私の姿か・・・』

足がにぶく痛むのは、老化なのだと観念しつつ、それを恨めしいと思った。



にほんブログ村