会社が実質廃業となり、従業員は無事に放牧とあいなった。
2ヶ月以上の余裕を持って通知してあったし
二度と会社に来なくて良いように、全ての手続きは済ませたし
解雇するに当たって、多目の一時金も支給した。

零細企業としては出来るだけの手厚いフォローをしたと思う。
なので、多分、文句を言ってくる人はいないだろう。

……………

廃業の前に、同業系の会社に転職した人がいる。

そちらの経営者はその人の以前からの知り合いで、同じような仕事をするのだから、
割と楽に仕事をしているのかと思っていたら違うらしい。

相当なブラック会社らしく、転職してから休みがないとか…
国の制度を利用してお金をもらうために、しばらく派遣社員として扱われるとか…
仕事の段取りが悪い以前に、あらゆる基本的なことが出来ていないとか…
なので、今は自分だけで仕事をこなしているとか。
社長がお局の指示通りに動くので、言うことがコロコロ変わるとか…
他にも驚くような話が満載。

なんだそれっ!
もうそれって、会社としてアウトじゃね?

そんな愚痴を何度か聞いて、転職を勧めた。
「ぬかるみにはまる前に逃げなさい。」
ちょうど取引先から泣きつかれて、急遽同業の会社を紹介することになったので
今ならその会社が採用してくれる。
そこの経営者は社会的な地位もある。
ブランド力もある。

その会社が本格的に参入したら、彼の会社は太刀打ちできないだろう。

ところが、彼はその話に乗ろうとしない。
もう少し様子を見て、仕事の道筋がついたら考えるのだそうだ。

とりあえず社会保険には加入してくれたとか、給料は出てるとか…

あのー。それって、当然すぎることではないですか?
それに、彼の話を聞いている限りでは、今いる会社に未来はないのですが…

……………

年が明けた。
正月休みだけど歯医者に行く際、会社の前を通った。
彼の車が駐車場に止まっていた。

おや?
会社に来る時は、あらかじめ連絡を入れると言っていたのに、正月休みにでてきたのか?
もう、会社の鍵はいつもの場所にはおいていないのに?

休み明け社長に、彼が来ていたのか尋ねたところ、
「会社にいたら、突然、連絡無しで入って来た。」そうな。

彼は誠実そうで一生懸命な人だけど、残念な人でもある。
すでに彼はこの会社の社員ではないのに、黙ってこの会社に入りこむ気でいたらしい。
行った先で必要なものを調達しに来たのだろうが、それって、ドロボーだってことに気付いていない?

……………

表の顔と裏の顔。
そういうものに、私たちが気付いていないと思っていたのか?
一生懸命、真面目に。を装っても、垣間見える彼の姿は浅ましい。

……………

彼は、我が社に来る前の会社で、1年間ほぼ休み無し、ほぼ無給で働いていたらしい。
おそらく、ブラック会社のリストラ対象者だったのだ。
「自分が頑張れば社長が認めてくれるに違いない。」なんて、甘い考えで、
まるっと我が社に放り出された。

我が社にいた3年で体重が10㎏増えたそうな。
そして、転職して3週間で3㎏痩せたそうな。

「今の会社で必要な機材を購入してもらって、仕事が順調に片付くようになれば・・・」
などと寝ぼけたことを言っている内に、自分が連れて行った取引先を他社に奪われるだろうに。

……………

この前、彼が会社に来た。
私には掛ける言葉がもうない。
同情もアドバイスも忠告も去年の内に言い尽くしてしまった。

その会社でどんなに努力しても、経営者が評価してくれなければ意味がない。
自分の力でどうにかなると、何かを勘違いしているのではなかろうか。

まるで、借金まみれのギャンブラー達と同じ思考だ。
などと冷たく視線を向けてしまうのは、私が借金ブログを読みすぎたせいかもしれない。

前向きな考えは良いけれど、引き際を見誤ってはいけないよなぁ。

引き際は立て直しのチャンスでもあると思うのだが…



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