寒くなると道路の雪が凍ったまんまになる日がある。
日中の日差し程度では溶けることなく横断歩道は恐ろしく滑る。

健康的な歩き方は、腿をあげて大股で踵から着地からの体重移動しつつつま先で蹴り上げる。
だったけ?
夏の間そんなことを心がけて歩いていたけど、この時期には危険過ぎて無理。

凍った道を歩くときは、重心を下げて、すり足、小股、早歩き。
冬になるとそれが私の基本的な歩き方。

油断すると、ツルリン→あぁ~れぇぇ~→ドタッ☆。
と、派手に転けることになる。
足下を見てたはずなのに、空を見上げてお尻で着地(笑

そうさなあ、あれは何年前だったか。
おサイフも凍える年末の給料日前だった。
バック転でもする気か?って勢いで転んで、体が宙に浮いたことがある。
一瞬のはずなのに、感覚はスローもション。
「このままじゃ後頭部を打っちゃうな。三割増しでアホになるな。」
なんてことを余裕で思って、背中を丸めて腰から着地。
痛みもなく、なかなか華麗な転び方ではないか。と自画自賛。
速攻で立ち上がって何ごともなかったように歩いたわ。

が、翌日からジワーッと首が回らなくなっていった。
うん。給料日前だからね(←ちゃう!)
多分、軽くむち打ちになったのだと思う。
年末で、近くの病院もお正月休みに入って、営業しているところはなかった。

実家に帰るのを取りやめて、自宅療養?
首を動かせないから、ロボットになった感じで寝正月を決め込んだ。

まだ、今よりかなり若かったから、休みの間に自然治癒したけど
あれがこの歳になってからだったら、致命的だったかもしれない。

だから今はひたすら慎重にすり足歩き。
見た目やスピードなんて、今の私の辞書には載ってないのよ。

…………

夕方、上の階からおりてきた子のためにドアを押さえてあげた。
か細い声で「ありがとうございます。」って言いながら横をすり抜けていった。
次のドアでは、その子がドアを押さえていてくれた。
「ありがとうございます。」とお礼を言ったら、ニッコリ笑って青信号目指して駆けていった。

なんだかその子の全身が素直さのかたまりに見えて、
おばさんは、に小さく感動してしまった。

外に出ると信号は赤に変わっていて、先ほどの女の子が立っていた。
進行方向が同じだったんだ・・・
せっかく駆けていったのに、ここで足止めくってる子の横に立つのは忍びない。
斜め45度後方に気配を殺して立つことにした。

まだ小学生か? ちっちゃくて細くてでとても可愛い。

信号が青になると、またその子は駆けだした。
凍った道など何のその。
バランスを崩すことなく道路をわたると、後ろ姿は見る見る遠ざかっていった。

子犬みたい? というより、リスのよう? あるいは、ハムスター?
というか、それを足していいとこ取りした感じ。
華奢で敏捷。

もうすっかり暗くなった遠くの方、コンビニの灯りに
ピンクのダウンがほんの数秒ヒラリと照らし出されて
その姿がとても優雅に見えて、「ああ、まるで蝶のようだ」と思った。

………………

私だとて、かつては凍った道を駆けていたのよね。
足下なんか気にせずに、無鉄砲なくらい前を向いてヒラヒラと。

かなり遠い昔の話なのだけど…



にほんブログ村