会社の建物の脇に申し訳程度の花壇がへばり付いている。
かつては柘植が植えられていたが、刈り込みが面倒なのと、
長い年月の間に根詰まりでもおこしたのか何本かが枯れてしまった。

そこで社長が知り合いの業者に頼んで、多年草に植え替えをした。
その花の名前は知らないが、ホームセンターなんかでよく見る100円程度の
ありふれた花だった。

それが幅2.5メートル、奥行き30㎝もないその小さな花壇に、ビニールポット100個分。
みっちみち? パンパン? ぎゅうぎゅう?
土に苗を植えるのではなく、土の上に苗をぎっしり詰め込んだ感じで並べられていた

こ、こんなでいいの? という疑問はあったけど、社長は業者を信じ切っている。

そして支払い。
土も多少は入れ替えしたけれど、その料金は10万円を超えていた。
苗の料金だけで何万もしていた。

あ~あ、なんだか騙されてる感じなんですが、社長はご満悦。
ならば、文句なんぞ言えはしません。

せっせと水をやり、ぐんぐん茎を伸ばし、薄紫の花を楽しんだのは
どれくらいの期間だったろう。

冬が来ると花壇から垂れ下がった茎は、零下の風に吹き晒されて凍えて枯れた。
それはすだれのように風に揺れて、ただ汚いだけだった。
それでも春になると、雪にうもれていた部分が緑の葉を茂らせたが
やがて、何度目かの夏からまともな花を見ることはなくなった。

そして今年。
春になり、勢いよく新芽を伸ばしていると思っていたら、
急激に枯れてマダラハゲとなってしまった花壇。
多分、根っこが窒息死したんでしょうね。
実は今まで生きてたのが不思議だったもの。

初夏。
そのハゲの部分に芽吹いたものがありました。
いつも引き抜いている雑草とはなんだか違う。
毎朝水をやりながら、成長を楽しみにしていたのだが、
どうにもヨモギにしか見えなくなって、抜いてしまおうかと迷いつつも
万一花の芽ならばどんな花が咲くのか楽しみにもなり、大事に大事に育てておりました。

が、ある朝。
「こちる君。これ、雑草だよな。捨てといて。」
社長の手には、引っこ抜かれたあの草が・・・
まあね、花壇のハゲにポツンと1本だけ異色な草が生えてたら、抜きたくもなるわねえ。

私 「社長~、私、あれの成長を楽しみにしてたんですよ」
社長 「えっ、悪かった。じゃあ、植え直しておくわ」

ということで、植え戻されたヨモギのような草。

炎天下、生死を彷徨いつつやがて復活。

毎日水をやりつつその成長を観察しておりました。
ヨモギより葉っぱがギザギザだとか、茎が太いみたいとか。
「なんだろうねぇ~。どんな花がさくんだろうねぇ~。」
  ↑  もう中学生というお笑い芸人風に読んでくだされ。

ところがある朝、その小さな草は、花壇の花の上に横たわっておりました。
今年の夏は例年になく暑くて、あっという間に干からびてしまったご様子。

通りすがりの子どもの仕業か。
それとも、カラスのいたずらか。
私も社長も大いに落胆したしだいです。

が、数日後、新たな命が花壇のハゲに芽吹いていました。
ああ、これはあの草の生まれ変わり?

  後編に続く


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