暖かな日差しに、春が近いと喜んだのもつかの間、またもや真冬日。
いつもの事ながら、北国の2月はまだ冬だった。(ーー;)
一喜一憂と落胆の繰り返し。繰り返し。
何十年生きても、懲りることなく繰り返し(^0^;)

……………………

昔、3・4歳だったころの冬、私は母に連れられ親戚の家に行った。

その記憶は突然始まる。

吹雪の中、私は母に手を引かれて歩いていた。
ホワイトアウト。
360度真っ白な世界で、私の視界にあるのは母の姿だけだった。

吹き付ける風の冷たさと、刺さるような雪が肌にいたくて、
かんでもぬぐっても鼻水は出放題、呼吸さえ苦しかった。

真っ白な風が体を襲うたび、母は私をオーバーの中にかくまってくれた。

「大丈夫か?」そう言って、母が顔に巻いてくれたタオルのおかげで
私は空気を吸うことができた。


長靴の中に雪が入り、溶けて足はかじかむ。
泣きたい。立ち止まって、母に甘えて泣きたい。
いつもだったらとっくに泣いているのに、その時は何故か泣かなかった。

再び「大丈夫か?」そう言って、長靴の雪を払ってくれ
足が濡れているのに気づくと、、、、
母は手袋を脱いで、私の足に履かせてくれた。

母の履かせてくれた手袋は、ものすごく暖かかった。

そこで記憶は飛ぶ。

親戚の家に着くころ吹雪は止み、空は上機嫌に晴れていた。

鼻水まみれのタオルに呆れながらも、
母は、私が泣かなかったことを盛大に褒めてくれた。

……………

で、話しは飛ぶ。

私は大人になり、歳を取り小柄な母はいっそう小さくなっていた。

母とそんな昔話をしながら歩いていて
私が「よくもまあ、捨てずに連れて歩いてくれたもんだ。」と言うと
母は笑って「殺すわけにはいかなかったわ。」
だと。(゚∀゚)アヒャヒャ


「母さん、歩くって不思議だよね。
 1歩あるくと、その分前に進むんだよ。
 あんな遠いところにも、いつかたどり着くんだよね。
 当たり前だけど、不思議だよね。」

「お前はおかしなことを言う。」
そう言って母は笑った。


あの吹雪の日、私の手を引く母は、大きくたくましかった。
幼い私の1歩に合わせて、母は我慢強く歩いてくれた。
今、母と歩くとき、私は母の歩みに合わせる。
あせらずに、ゆるやかに。

はたして今、自分が人生のどのあたりにいるのか、私は知らない。
若い頃のように、颯爽と大股で歩くのは危険だし、もう体が機敏には動かない。

目的地は未知なる世界?
ゆるゆると一歩ずつ、歩いて行きましょうか。
あの日のように。


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