先輩の営業さんは、会社のみんなに優しかった。
どんなに営業君がオヤジ達に媚びまくっても、先輩営業さんを越えることは出来なかった。

先輩営業さんが会社を辞めて、営業君に担当が変わっても、
しばらくの間、得意先からは「先輩営業さん、いる?」と、電話がかかって来た。
先輩営業さんをだまして、一緒に担当交代の挨拶までしたのに…
ざまぁ。。。


やがて、会社を辞めて数年後、先輩営業さんが自死した。

━─━─━ 営業君の本性 ━─━─━

先輩営業さんは、経営者の遠縁にあたる。
なので、その連絡は会社に来た。

前の社長に、自死したことを告げると、
「線香をあげに行ってくる。住所はどこだ?」と言ってきた。
すかさず営業君が、「わたしが知っていますから、案内します。」と言った。
開け放した社長室での会話を、営業君は聞いていたのだ。

そして、前の社長を先導して営業さんのマンションに到着すると
そのまま、部屋にまで入ってしまった。
「わたしもお世話になりましたから・・・」

だが、営業君と先輩営業さんは仲が良かった訳ではない。
先輩営業さんは「あいつ、なに考えてんだかわからない。」と、ぼやいていたのだから。
営業君が住所を知っていたのは、仕事の関係で何かを届けたことがあったからで、
会社以外での付き合いは一切なかった。

まあ、それでも、お線香をあげたかったのなら仕方がない。

が。

戻って来た営業君は、工場で先輩営業の亡骸について語ったのである。
どんなに神妙に話していても、全身からウキウキ感が漂っていて
さすがのオヤジも、「こいつ、頭おかしいんじゃないかと思った。」そうである。

幼い子どもや妻を残して、この世を後にした先輩営業の無念を思うより、
その家族を前にして、その遺体を観察して「みんなに教えよー」と、思ったらしい。

ヤツは亡くなった人を侮辱して、どんな快感を味わったのだろう。


ヤツはその話を私にはしなかった。
その判断は正しかったのだろう。
でなければ、私はヤツを張り倒していたかも知れない。

その話を聞いたとき、私は、血液が沸き立つような怒りで、
自分が地獄に堕ちるのではないかと思うほどヤツを憎悪した。

あんなヤツは・・・・

今でも変わらず思う。あんなヤツは・・・



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