お月様にあいたくて

闇夜の砂漠で月を待つ。 それが日常。 たまには、こっそりひっそり毒でも吐こうか。

幸福感は温かい

その写真を見て頭に浮かんだのは母だった。
肉のない、細くて華奢な母の腕。

私はあの細い腕に抱かれて大人になった。

そして父は?
父は偏屈だった。
にっちもさっちもいかない偏屈だった。
なのに、私は父が嫌いではない。
親子の情ってやつかしら。というより、父は憎めない人だった。

………………

母が笑う。
「父さんたら、何でも半分どうだ?」って聞くのだと。
お饅頭でも、果物でも、食べきれない訳じゃないのに
「(おいしいから)半分どうだ?」と。

それと時々母のことを褒めちぎる。
手先が器用だとか、料理が上手だとか。
自分にはもったいない嫁だとか。
本気でこれでもかってくらい母のことを褒めちぎる。
「ふが悪い」と母は言っていますが…まんざらでもなさげ。
( ↑ 多分、気恥ずかしいという意味の何処かの方言です。)

……………

若かりし頃は、ぶちのめしてやりたいくらい憎たらしい人だったのに
今、父との思い出のナンバーワンはフウワリと掛けられた上着の暖かさだ。

あれは10歳ぐらいの夏だったろうか
お気に入りのノースリーブのワンピースで出かけた先は
うすら寒い体育館で、私は式典のあいだ小さく震えていた。

子どもにとって式典なんてものは、生き地獄以外の何物でもなく
つまらないじい様達の長話と季節はずれの寒さの中でこのまま死ぬんじゃね?
ってくらい辛いものだった。

その上、偏屈な父が側にいるって緊張感で身も心も最悪。

だがその時、肩がフワリと暖かくなった。
父が上着を掛けてくれたのだ。
振り向くと父がバツが悪そうな笑顔を私に向けていた。

父とて同じく寒かったろうに。

……………

父との思い出のナンバーワンはベストワンで、オンリーワン。
これ以外には幸せを感じる父との思い出などないのに
それでも私はあれこそが、愛すべき私の父なのだと思っている。

幸福感は温かい。

……………

その細い腕の写真を見て思った。

母の父への思いは複雑で、その本心は分からない。
それでも、「父さんたらねぇ~」と笑顔で話せるのは
たまには父の言葉にぬくもりを感じていたからなのだろう。

温かな心を感じられたら一瞬でも幸せだ。
ある種の呪いのように、幸福感は温かい。



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ヘビーロー…テンション?

他社に転職した営業さんが会社に来た。

やっぱ、かんばしくないご様子。

だがなー、救いの手をさしのべる気には全くならない。

彼の転職先が我が社にした失礼が半端なくってねぇ。
それを分かった上でそちらに転職したなら、
彼もそれなりの覚悟があるものだと思ってたけど、
覚悟以上のことが起きているらしい。

だから逃げろと言ったのに…

でも、なのか、なので、なのか分からんが、助けたりはしない。
ついでに言うなら、彼も相当にアホだからね。

……………

仕事は事務と営業と工場で完全に分離していた。
社長は基本的に性善説なお人で、それぞれの仕事にあまり干渉しなかった。
それがいけなかったのだとは思うのですがね。

仕事の窓口がこんがらからないように、会社のメアドは一つだけ。
顧客は基本的に企業ばかり。

ある日そこに個人からのメールが届いた。
「○月○日、お礼がてらお支払いにうかがいます。」

当日の昼休み、そのお客さんは手土産を持って来たらしい。
私は昼食で外出したので、お会いしてないので、らしいとしておく。

午後から営業さんが菓子を配ってくれた。
「お客さんからの頂き物です。」
が。
ん?
支払いはどうなった?

入金伝票が見あたらないのですが?
てか、調べてみたら、売上伝票もあがってないのだが…

あら、忙しくって伝票忘れちゃってる?
しばらく様子を見ましょうか?

でも、伝票は切られることなく、入金もされることなく時は過ぎた。

もしや社長には話していて、社長がわざと入金処理をしていないのか?
などと疑って、社長にそれとなく話してみたら、「なに、それ?」な反応。

あら、ま。営業さん『ポッケナイナイ』しちゃったみたい。

彼がお菓子を配らなければ、お客が来たことさえ知らなかったのにね。
経理の私があのメールを見ていなければバレなかったのにね。

社長が「ほっとけ」と、
寛大なご様子なので私達は何も気づいていない。(ことになってる)

「伝票あがってないけどねぇ~、
受注してるし、台帳にも記入してるし、工場にも指示書があるしねぇ~」
「横領ってやつですかねぇ~」
「見てないところで、他にもやってたんだろうねぇ~」
「だろうねぇ~」
「メール、消せば良かったのにねぇ~」

伝票ないからねぇ、当然入金もないんだねぇ。。。
納得だわ。(゚∀゚)アヒャヒャ

……………

痩せてだぶついたスーツに少しむくんだ顔。
覇気のない声。

例え彼が病んだとしても、私達は手をさしのべたりしない。

それが彼のやったこと。選んだ道なんだから。



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引き際

会社が実質廃業となり、従業員は無事に放牧とあいなった。
2ヶ月以上の余裕を持って通知してあったし
二度と会社に来なくて良いように、全ての手続きは済ませたし
解雇するに当たって、多目の一時金も支給した。

零細企業としては出来るだけの手厚いフォローをしたと思う。
なので、多分、文句を言ってくる人はいないだろう。

……………

廃業の前に、同業系の会社に転職した人がいる。

そちらの経営者はその人の以前からの知り合いで、同じような仕事をするのだから、
割と楽に仕事をしているのかと思っていたら違うらしい。

相当なブラック会社らしく、転職してから休みがないとか…
国の制度を利用してお金をもらうために、しばらく派遣社員として扱われるとか…
仕事の段取りが悪い以前に、あらゆる基本的なことが出来ていないとか…
なので、今は自分だけで仕事をこなしているとか。
社長がお局の指示通りに動くので、言うことがコロコロ変わるとか…
他にも驚くような話が満載。

なんだそれっ!
もうそれって、会社としてアウトじゃね?

そんな愚痴を何度か聞いて、転職を勧めた。
「ぬかるみにはまる前に逃げなさい。」
ちょうど取引先から泣きつかれて、急遽同業の会社を紹介することになったので
今ならその会社が採用してくれる。
そこの経営者は社会的な地位もある。
ブランド力もある。

その会社が本格的に参入したら、彼の会社は太刀打ちできないだろう。

ところが、彼はその話に乗ろうとしない。
もう少し様子を見て、仕事の道筋がついたら考えるのだそうだ。

とりあえず社会保険には加入してくれたとか、給料は出てるとか…

あのー。それって、当然すぎることではないですか?
それに、彼の話を聞いている限りでは、今いる会社に未来はないのですが…

……………

年が明けた。
正月休みだけど歯医者に行く際、会社の前を通った。
彼の車が駐車場に止まっていた。

おや?
会社に来る時は、あらかじめ連絡を入れると言っていたのに、正月休みにでてきたのか?
もう、会社の鍵はいつもの場所にはおいていないのに?

休み明け社長に、彼が来ていたのか尋ねたところ、
「会社にいたら、突然、連絡無しで入って来た。」そうな。

彼は誠実そうで一生懸命な人だけど、残念な人でもある。
すでに彼はこの会社の社員ではないのに、黙ってこの会社に入りこむ気でいたらしい。
行った先で必要なものを調達しに来たのだろうが、それって、ドロボーだってことに気付いていない?

……………

表の顔と裏の顔。
そういうものに、私たちが気付いていないと思っていたのか?
一生懸命、真面目に。を装っても、垣間見える彼の姿は浅ましい。

……………

彼は、我が社に来る前の会社で、1年間ほぼ休み無し、ほぼ無給で働いていたらしい。
おそらく、ブラック会社のリストラ対象者だったのだ。
「自分が頑張れば社長が認めてくれるに違いない。」なんて、甘い考えで、
まるっと我が社に放り出された。

我が社にいた3年で体重が10㎏増えたそうな。
そして、転職して3週間で3㎏痩せたそうな。

「今の会社で必要な機材を購入してもらって、仕事が順調に片付くようになれば・・・」
などと寝ぼけたことを言っている内に、自分が連れて行った取引先を他社に奪われるだろうに。

……………

この前、彼が会社に来た。
私には掛ける言葉がもうない。
同情もアドバイスも忠告も去年の内に言い尽くしてしまった。

その会社でどんなに努力しても、経営者が評価してくれなければ意味がない。
自分の力でどうにかなると、何かを勘違いしているのではなかろうか。

まるで、借金まみれのギャンブラー達と同じ思考だ。
などと冷たく視線を向けてしまうのは、私が借金ブログを読みすぎたせいかもしれない。

前向きな考えは良いけれど、引き際を見誤ってはいけないよなぁ。

引き際は立て直しのチャンスでもあると思うのだが…



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グダグダウダウダ年末年始

開けてしまいましたわん。
ブログに書きたかったことが沢山ありすぎて、書き切れないうちに忘れた。

年末、フローリングの床が冷たいので、ホットカーペットのスイッチをON。
しばし温まるのをジーッと待てど暮らせど・・・
そうですか。ついに旅立たれましたか。

長きにわたり、わびしい一人暮らしを暖めてくれてありがとう。
一体何年一緒に暮らしたのでしょう。
13年?14年?
求めるままに、そのぬくもりを与えてくれてありがとう。南無。

速攻でホームセンターに行き、新しいものを購入してきたが、
敷いている暇がないまま、年末の休みになってしまった。

そうだ。ついでに部屋の模様替えをしよう。
隣の部屋にラグを敷いて、ベッドの方向を変えて
荷物置き場と化したソファを移動しよう。
クローゼットを片付けて、物干しの位置を変え
窓の冷気を防ぐため、カーテンを二重にしよう。

結果。2日間いろいろ試してラグ以外は元の位置に・・・
ええ、何も変わりはしなかった。
年をまたいでの模様替えは失敗に終わった。

大晦日にフローリングを痛めないよう、数センチずつずらした家具を
元旦に数センチずつ元に戻しただけという
グダグダの年末年始とあいなりました。

そして、この休みの間にラブの服を作るためにミシンを出した。
ところが、ミシンはピクリとも動かない。
油をさしたり、ネジを緩めたり絞めたり。

結果。プラスチックの部品が割れていることに気がついた。
ミシンの針を動かす一番肝心の部品が天に召されていた。

思い返せばこの子は、20代のころに買ったもの。
すでに35年以上ともに暮らしたことになる。
メーカーは今は亡きリッカー。
修理なんてできるわけもない。南無。

慌ててネットで調べてみても、お手頃なミシンの基準すら分からない。
4日に歯医者に行くついでに、ミシン屋さんに寄ることにした。
現物を見てじゃないと、こわくて買えない…
で、お店でみたら、お値段は2万~40万。
店員さんいわく、「お値段なりですよ。」
「一旦帰って考えます。」と逃げ帰ってきたわ。
お値段がこわすぎだわ。

そして、以前テレビショッピングでやってたミシンをググって買った。
12万が3万て、多分、とってもお買い得なのだと思う。
いや、お買い得だわ。キッパリ!←そう思わないとやってらんない。
使うわ。使い倒してやるわ。

そのミシンが今日届いた。
今、ラブの服を縫っている。

ラブも今年で15歳になる。
見た目は可愛いままなのに、耳は全く聞こえなくなった。
シッポがピンと上がることもなくなった。
とっても元気なのだけど、多分、次の戌年は迎えられないだろう。

……………

模様替えついでに、家電の説明書や保証書の整理をした。

なんと、ホットカーペットは19年前に買ったものだった。

冷蔵庫と洗濯機は9年前。エアコンは10年前。
この子達はいつまで持つやら。。。

年の始めからの憂鬱。

……………

グダグダのまま年はあけ、ウダウダしている間に時は過ぎる。

『無事これ名馬』というように、
何ごともなく過ごせるのは幸せなのかも知れない。

グダグダでも、ウダウダでも。



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よろこんで

私は古いタイプの人間なので、ある程度の男尊女卑は気にならない。
(ん?60年近く生きてたら、タイプではなく、ただの古い人間だろう!)

昔から「女のくせに」と、お小言をいただくのはへいちゃら。
いやぁー、なんなら「女のくせに」で通らせてくれる世界があると言うなら
ありがたく「くせに」の住人になりたいぐらいだ。

コピーいっぱいとりますよ。
美味しいお茶くみに精進しますよ。
よろこんで

最近は時代が変わって、男が「女のくせに」なんて言ったら
セクハラやらパワハラやらと騒ぐので息苦しくなった。
限度はあるけど、男はバカなんだから仕方ないと
冷ややかに 温かい目で見ていた時代が懐かしい気さえする。

あくまでも、限度はあるので、調子こいてるバカは許さんのですが
それなりに楽をさせてもらったあの頃のお得感が忘れられない。

そんなわけで「女のくせに、引っ込んでろ。」と言われたら、
私はその言葉に甘んじて、ありがたく引っ込ませていただくことだろう。
よろこんで。

………………

底辺零細企業の悲しさ。

一周り以上年下で、入社3年の男性営業の給料は、私の給料の5割増し。
定時退社の後ろ姿を見送って、髪振り乱して仕事したって、所詮は女・・・
給料の性差が縮むことは望めない。
(基本給が低いですから)

他に行くあてもないから、諦めて働いて来たけど、思うのよ。

給料に見合った楽をさせてくださいませ。
そういうセクハラなら、甘んじて受けましょう。
よろこんで。



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